詩のドローイング
2019.08.27 09:53 writer yaguchi矢口です。
「スコットランドに行って気付いた事は、詩=ポエムは文字の詩ばかりを指すのではなくて、絵画でも、彫刻でも、そこに想いが込められていれば全ての創作物がポエムと言う言葉で現されるんです。」
「私はこれまで詩を文字として表現してきましたが、もっと柔軟にいろんな表現手段で詩を届けたいと思い、詩の絵を描き始めました。」
そう話されたのは安曇野にアトリエ兼ギャラリーを構える詩人でデザイナーの「SHITEKI NA SHIGOTO」ウチダゴウさん。
先日、ゴウさんが描かれたアート作品展を「SHITEKI NA SHIGOTO」ギャラリーで開催されていて、しかも一般価格よりもお得に買える企画展。
その個展が閉会した数日後、私は一人アトリエを訪ね、既に片づけされていた作品たちを一枚一枚箱から出していただきながらゴウさんと話し、作品一枚一枚に秘められた”ポエム”を解説いただきながら時間を過ごした。
「これが中々贅沢で楽しいな時間だった。」
詩人でデザイナーでアーティスト、こんな肩書きを持ち生計を立てている男の感性が平凡なわけが無い。
この短き時間で”ウチダゴウ”と言う視点・感性とは何ぞや??その輪郭すら摑めた気はしないけれど、ゴウさんの温和で柔和な雰囲気と口調から、いつの間にかその哲学の中に入り込んだ時、思考のチャンネル、もしくは角度、切り口の凄みだけはしっかりと堪能できた気がしました。
こちら3枚の写真は、その時に拝見した多くの作品の中から私が購入させていただき、当店レディースフィッティングに飾らせていただいているドローイング。
タイトルは「Blue waves」。
これはスコットランドスコッチ(オールドプルトニー 17)の瓶をダンボールで型抜きし、その中に無数の”blue”の文字を水性ペンで書く。
インクが乾く前に”blue”の文字の上に水をたらし、インクを滲ませ、スコッチの瓶の形に青が無作為に滲んだ作品。
”blue”の文字の密度で青の濃淡が出来、遠くから眺めると色のグラデーションが美しい。
「なぜ”blue”の文字だったのですか?」、私は単純な質問を詩人にした。
「これは人間幾つになっても若き頃の青さを持ち合わせているもの、そして持ち合わせていて良い。」
「一見落ち着きのある紳士であってもそれは例外ではないし、それが面白いではないですか。」
「そんな”青さ”を楽しみながら熟成されてゆくもの。」
「そんな人の青さを年月を重ね熟成し味わいが深まるスコッチ(=ウィスキー)の瓶に無数の”blue”を描き詩として表現してみたのです。」っと詩人ゴウさんは優しく微笑みながら話される。
「そうですかぁ~、納得です!!」なんて言いながらも、私は心の中で「私にはこの発想は絶対に出てこないわ!!」とつぶやいた。
このドローイングを購入した私の思いはブルーボトルのアートとしての美しさを私の好きが感じたのですが、それ以上に「今、洋服屋を営む自分自身、青二才で粋がっていた若き日々の好奇心や負けず嫌いさなどなど、人として成長しながらもあの頃の気持ちを持ち続けられる、”熟成された青さ”を肯定し、表現できる人で在りたいのかもしれない」、そんな思いに駆られこの作品を購入してきた次第です。
全ての創作物がポエム。
ゴウさんの「Blue waves」はレディースフィッティングに飾ってあります、フィッティング未使用の際に是非ご覧下さいませ。
また、全国の皆さんもウチダゴウさんのポエムに雑誌「nice things.」の冒頭に毎号ある詩のページで触れられます。
深面白い詩人の思考のヒトカケラをご確認くださいませ。