須藤康花 ―光と闇の記憶―
2023.12.04
矢口です。
北アルプス稜線が雪を纏った。
もう初夏まで溶けない、根雪(冬の期間中に積もった雪が、長期間消えずに残っている状態)となる積雪だろう。
これからの晴れた朝、一日の黎明の時。
暗闇から明ける朝の一刻一刻、アルプスの荘厳な姿からは目が離せない。
雪山はじめの今朝。
先冬ぶりの景色、久しぶりに拝めた雪山の目覚めは感動的に美しかった。
さて、松本市美術館では今週末からこちらの展覧会が始まります。
夭折の画家 須藤康花
闘病の末、30歳という若さで夭折した画家・須藤康花(すどう・やすか 1978~2009年)。
最愛の母親が思春期に他界し、本人も病魔との永い闘いを強いられます。生と死との葛藤の間で絵や詩を通して“光”の世界を追い続け、自らの心の底知れない“闇”と対峙し続けました。
須藤康花は、1978年、福島県に生まれ、父親の仕事の関係で横須賀市、札幌市、沼津市、東京、長野県麻績村に転居しています。神奈川に在住した幼少期、ネフローゼ症候群を発症して入退院を繰り返しながら、描くことに執着していきます。2001年からは多摩美術大学で版画を研究しながら、週末には麻績村で父とともに農作業に勤しみますが、2007年、同大学院修了と同時期に癌発症の告知を受けます。須藤は自らの生の終わりをさらに強く意識しながらも創作に没頭していきました。
死期を予感する中で描かれた人物、自画像、心象風景や自然風景、そこに込められた歓びと苦悩、希望と絶望、生と死。あまりにも短すぎる生涯に残した作品は1,000点余り。それらの散逸を防ぐため、2012年に、父親が松本市内に康花美術館を設立、作品を大切に守り続けています。本展は康花美術館の全面的な協力のもと、知られざる須藤康花の全貌に迫る初めての大規模回顧展です。
会期|2023年12月9日(土) 〜 2024年3月24日(日)
開館時間|午前9時~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日|月曜日(休日の場合翌平日)、年末年始(12/29~1/3)
観覧料
大人:1,000円
大学高校生・70歳以上の松本市民:700円
※中学生以下無料
期間限定の松本市美術館松本パルコ展の際に数作品展示されていた画家さま。
精細で力強い描写、須藤康花さんの生きた証、私も是非拝見したい企画展でございます。