JOURNAL

陰翳礼讃

2022.03.11

 

 

 

 

 

 

 

矢口です。

 

タイトル「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」は、小説家谷崎潤一郎の随筆。

 

まだ電灯がなかった時代の今日と違った日本の美の感覚、生活と自然とが一体化し、真に風雅の骨髄を知っていた日本人の芸術的な感性について論じたもの。

谷崎の代表的評論作品で、関西に移住した谷崎が日本の古典回帰に目覚めた時期の随筆。

西洋の文化では可能な限り部屋の隅々まで明るくし、陰翳を消す事に執着したが、いにしえの日本ではむしろ陰翳を認め、それを利用することで陰翳の中でこそ映える芸術を作り上げたのであり、それこそが日本古来の美意識・美学の特徴だと主張。

こうした主張のもと、建築、照明、紙、食器、食べ物、化粧、能や歌舞伎の衣装の色彩など、多岐にわたって陰翳の考察がなされている。

 

写真は、オーク材無垢スツール「MATTIAZZI CUGINO STOOL」。

先に引き継いてくださる方を募らせていただき、晴れてお客様の元に嫁いだ当店2脚のインダストリアルチェア、その後任として導入したイタリアメーカーのスツールがこちら、作家さまの作品や、ファッション小物類のアイテム撮影をする際の台として今年初めから使っております。

 

クッチーノスツールは、巧みに作り上げた木のオブジェであり、「スツールではない」「ローテーブルでもない」が、実際にはそのどちらでも使うことができます。

木工の経験を持つデザイナーコンスタンティン・グルチッチは、この機会を活かして、最初から機能を与えるのではなく、固まりと隙間のデザインから解釈の余地のある形を見つけ出しました。

太い木の塊感と真ん中を切り抜いたかのような三つ足のデザインが美しい、さらには、選びましたブラックカラーの凜とした存在感に気持ち引き締まる思い。

(日本に入荷する度に価格が上がっているこちらですが、コクヨさんオンラインがきっと最安値、さらに5%OFFのメンバー特典がございます、お得です、先の入荷後すぐに完売し、次回の入荷予定は未定。)

 

陰翳礼讃。

漆黒の空間に浮かび上がる景色、古来からの日本の美の感覚に惹かれ始める50代直前、私でございます。

 

※コンスタンティン・グルチッチ

1965年、ドイツ・ミュンヘン生まれ。90年、ロンドン・ロイヤルカレッジ・オブ・アート(RCA)卒業。「Jasper Morrison事務所」勤務後、91年に「コンスタンティン・グルチッチ・インダストリアルデザイン」を設立。

その作品は、論理的な思考と素材に対する純粋さ、そして生産プロセスへの尊敬で知られ、 カッペリーニ、フロス、イッタラ、マジス、MUJIなどクライアントは多岐にわたる。