JOURNAL

American thinking

2024.06.04

 

 

 

 

 

矢口です。

 

1946年、Charles & Ray Eames(チャールズ&レイ・イームズ)がデザインした成型合板の「Eames Lounge Chair Wood leg(イームズラウンジチェアウッドレッグ)=LCW」。

米「タイム誌」”20世紀最高のデザイン”に選ばれたこの椅子は、熱と自転車用ポンプを利用して機械で合板に成型処理を施すという実験的な試みから誕生した。

タイム誌はイームズプライウッドラウンジチェアを、「優雅で、軽やかで、快適。模倣品が数多く存在するが、これを超えるものはない」と評しています。

いまなお熟練の職人技で成型された座面と背もたれが快適な座り心地をもたらす。

 

建築家野沢正光さんの味わい深良い自邸でも使われている名作、私がお店を始めた記念の年2003年製の個体に出会いこれは運命だと言い聞かせ購入、12年以上使っている。

肘掛けがないので長時間座ってくつろぐと言う座り方はしないけれど、ちょっと座り休むのにちょうど良い、また造形が素晴らしく360°どこから見ても絵になる椅子です。

 

こちらウォールナットプライウッド表面が渇きひび割れ始める、ここ5年くらい頻繁にオイルを塗って愛でている。

その効果で木目の経年変化が愛おしく、大切な椅子の一つとなっています。

 

先日、そのLCWの背受け面が突然外れた!

よく見ると木部とゴムのショックマウントはネジでなく、ただ接着剤で留められているだけ。

 

イームズの代表作であるシェルチェアも、座り心地と見た目、そして生産効率の考慮から足部と座面部は接着で仕上げられているけれど、LCWも同じでした!

これは”イームズの哲学”なので悪ではなく正であろうけれど、接着剤の経年劣化でこの様な事故は避けられない構造だと思った。

 

そう言って諦められない大切にしている椅子ですので、すぐさま製造メーカーのハーマンミラー日本法人に電話、修理を問い合わせた。

そうしたらば思いもよらなかった修理方法の回答・・・「ゴム部の再接着は出来ません、足から背面のユニット一式の交換となります。」

 

えっ、唖然として「接着の対応はしていただけないのですか!?」と聞き返す。

「出来ません」と丁寧な口調でユーザーとしてとてつもなく切ない回答が再び繰り返された・・・

 

共に時間を過ごし使い込んだ木の家具の経年美化が大好きな私。

でも、ハーマンミラーの修理方法回答はユニット一式を交換し、古い木部と新品木部の半分半分合体となるって事かたくな一択・・・

 

だから、私にとってハーマンミラーの修理対応は到底受け入れることは出来ないものでした。

でも、日本法人もアメリカ本社から許された方法でしか修理回答できない、お電話口の方にそれを望み無理強いすることは無意味。

 

American thinking=アメリカ人お考え方。

 

きっとゴム部を再接着したその後の破損デメリットを考えた時のリスクや保証のことを考えてのアメリカ本社の方針なのだろう。

さらには、木の経年美化を大切に思う意識がアメリカ人にはそれほど重要視されていないのかも、効率主義・合理主義、もしかしたら??邪推する。

 

「製造販売メーカーさんなんだから、臨機応変な修理対応を望みたい!もう一度同様の接着剤処置してくれれば、愛着ある味わい深い木部と一緒にこの先も重ねられるのに!」

愕然、心に強く抱いた無念の感情。

 

そしたらば、悲壮感マックスの私に堪りかねられたのかお電話口修理担当の方がこっそりと「USビンテージ品を販売されている千葉県船橋市の「SCOOPS」さんでしたら再接着の修理をなさっております。」教えてくださった。

嬉しい、有難うございます!!

 

早速「SCOOPS」さんに連絡、”よくある事”だと快く大変丁寧に修理をお引き受けくださいました、感謝感激、瞼に涙が滲む思い。

そして修理必要部を発送、無事に修理が進行し手元にカムバック、再び彼に腰掛け過ごす日々が楽しみでございます。

 

「Eames Lounge Chair Wood leg=LCW」やDCW。

ヴィンテージ&新製品をご購入・ご使用の皆さま、この様な破損が起きました際はこんな選択肢もありますよって、ご参考になさっていただけましたら幸いです。