JOURNAL

回想時間

2024.11.22

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

矢口です。

 

今週の定休日出張では展示会拝見の合間に東京都写真美術館で開催されているアメリカ人写真家アレック・ソスの個展を見てきた。

 

「アレック・ソス(1969-、アメリカ・ミネソタ州生まれ)は、国際的な写真家集団、マグナム・フォトの正会員であり、生まれ育ったアメリカ中西部などを題材とした、写真で物語を紡ぎだすような作品で、世界的に高い評価を受けてきました。本展「部屋についての部屋(A Room of Rooms)」には、初めて出版されたシリーズであり、初期を代表する〈Sleeping by the Mississippi〉から、今秋刊行の最新作〈Advice for Young Artists〉まで出品されます。30年に及ぶソスの歩みを単に振り返るのではなく、選ばれた出品作品のほぼすべてが屋内で撮影されているように、「部屋」をテーマにこれまでのソスの作品を編み直す、当館独自の試みとなります。初期からソスはアメリカ国内を車で旅し、風景や出会った人々を大判カメラで撮影してきましたが、本作ではそうしたロードトリップのスタイルではなく、舞踏家・振付家のアンナ・ハルプリン(1920-2021)や、小説家のハニヤ・ヤナギハラ(1974-)など世界各地にさまざまな人々を訪ね、その人が日々を過ごす部屋の中で、ポートレイトや個人的な持ち物を撮影しています。すなわち、部屋とそこに暮らす人をテーマとするこのシリーズが、本展を生み出すきっかけとなりました。静謐な空間で被写体から醸し出される親密さが大きな魅力となっています。「どれだけ激しくあなたの心臓が鼓動しているのか知っている」というタイトルは、その瞬間を写し留めたソスの胸中だけではなく、展示室というひとつの部屋の中で、作品と対峙するわたしたちの心の内までをも言い表しているかのようです。「ポートレイトや風景、静物などを定期的に撮影しているが、最も親しみを感じるのは室内の写真だ」と作家は述べています。ソスの作品に登場するさまざまな部屋や、その空間にたたずむ人々に意識を向けることで、果たして何が見えてくるのか。展覧会と写真集共に多くの支持を得る作家の表現の魅力を探ります。」(公式サイトより、一部抜粋)

 

私は、美術館で何かしらの作品を眺める凛とした静寂感あるあの空気感が好きで、タイミングがあれば行きたいタチ。

でも、造形浅いため、展示を拝見している最中は実際意識の深いところで観覧している感覚には乏しい。

 

それでも、展示会場内を2から3周し、気持ち惹かれる作品を凝視、記憶に留める。

そして、会場を後にした後数時間から数日後、回想し良き体験が出来た感触が込み上げてくるのがもっぱら、そこで初めて記憶に刻まれるのかもしれない。

 

更に嬉しいのが、今展示会のように写真撮影が許されている展示(このケースはだいぶ少ない)。

自分が撮った写真から、作者の目線や意図を再妄想できるのでしみじみ満足度が高ぶる感覚。

 

大判カメラで撮られた緻密な写真。

さらには、一枚を撮影するまでに数分から数十分準備にかかる大判カメラで、撮影を待つ人物その間の感情の動きに意識を落とすとその場の空気がフラッシュバックしてくる楽しい錯覚を覚える。

 

写真を語るトモコスガさんの「アレック・ソス『Sleeping by the Mississippi』」動画解説を見てから足を運んでとても良かった。