GYRE Gallery
2025.03.15
矢口です。
原宿表参道複合モールGYRE、そのGallery。
太っ腹、先鋭的な美術展を毎回入場無料で開催してくれる、作品の写真撮影も概ね可。
先日の出張、表参道を歩きがてら立ち寄る。
複数のアーティスト作品が展示された企画展「来たる世界 2075 テクノロジーと崇高」。
展示全体像は中々の異様の世界、特に目を引いた作品が写真下2枚、井田大介さんの彫刻「シノプテス」。
デジタル技術が生み出す監視社会の恐怖と美しさを映し出す。題名は、ギリシャ神話の100の目を持つ巨人「アルゴス・パノプテス」と、ノルウェーの社会学者トマス・マシーセンが提唱した社会構造「シノプティコン」を掛け合わせた造語だ。複眼の怪物はデジタル画像をつぎはぎしたコラージュのように、ふたつの人体が分解・再接合されている。身体中に埋め込まれた無数の眼球は、部屋の中にいる人間を感知して動き続けるようプログラムされており、街中の監視カメラやSNSのようなテクノロジーの多視点相互監視の恐ろしさを感じさせる。井田は本作で自己と他者の視線が交錯するデジタル社会の支配構造を批評的に捉え、その畏怖を神話的な異形の造形へ変換している。
その肌の質感はまさに生身の人間。
コンセプチャルなアートであり、幾多の目が入場者を追い見つめるテクノロジーも見事ながら、こんなにリアルな肌の質感を表現できるのか!?と驚いた。
次回、表参道を歩くのは4月。
次はどんな企画展なのだろう?